電気代が高騰し続けているなか、6月からさらに電気代が値上がりすると聞いて、具体的に自分たちの生活にどれほどの影響が出るのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
- どれくらい電気代が上がるのか知りたい
- どうして電気代が上がり続けるのか理由が気になる
- 電気代の値上がりに対する節電対策の方法を知りたい
この記事では、電材商社で7年営業マンをしている家電のプロ監修のもと、まちの電気屋さんを経営しているしゅんぞーが、2023年6月からの電気代値上げについて完全解説しています!
- 2023年6月からの電気代値上げの地域別の影響
- 電気代が値上げされる理由
- 電気代値上げによる政府の補助について
- 電気代値上げに対する節電対策
この記事を読むと、2023年6月からの電気代値上げの理由や私たちへの具体的な影響がわかり、節電対策を効率よく行えるようになります。
【早見表】2023年6月からの電気代値上げの状況と影響を地域別に一括比較
次の表は2023年6月からの電気代値上げの状況と影響を地域別にまとめたものです。
【2023年6月からの電気代値上がりの状況と影響の地域別まとめ】
電力会社 | 平均値上げ幅 | 値上げ実施日 | 電気代値上がり前 1ヶ月平均電気代 | 電気代値上がり後 1ヶ月平均電気代予想 |
---|---|---|---|---|
北海道電力 | 21% | 2023年6月1日 | 14,919円 | 18,885円 |
東北電力 | 24% | 2023年6月1日 | 12,659円 | 16,657円 |
東京電力 | 14% | 2023年6月1日 | 14,208円 | 16,522円 |
北陸電力 | 42% | 2023年6月1日 | 9,210円 | 15,879円 |
中国電力 | 29% | 2023年6月1日 | 11,938円 | 16,814円 |
四国電力 | 25% | 2023年6月1日 | 12,092円 | 16,123円 |
沖縄電力 | 38% | 2023年6月1日 | 12,026円 | 19,397円 |
※電気代目安:標準的な家庭(1ヶ月あたり400kWhの使用)の2022年11月(値上げ申請される前)と比べたもの
【どれくらい変わる?】2023年6月から値上げされる電気代の影響
2023年5月16日に政府が発表した、2023年6月1日からの大手電力会社7社の家庭向け電気料金の値上げについて、値上げのパーセンテージから試算した具体的な家庭の負担額について解説します。
- 電気代値上げ幅は14%〜42%
- 電気代負担額は前年と比べて月2,000円〜7,000円アップ
- 政府からの補助終了後は負担額が月2,800円アップ
電気代値上がりによる具体的な負担額を把握して、節電対策の重要性を知りましょう!
電気代の値上げ幅は14%〜42%
2023年6月からの電気代値上げ幅は14%〜42%です。
具体的な地域別の電気代値上げ幅は次のとおりとなります。
【地域別の電気代値上げ幅】
ひゃ〜(汗)上がり幅が大きいね・・・
今回の値上げ幅は経済産業省により圧縮された数値で、もともとはさらに大きな値上げ幅で申請が出されていました!
【当初の値上げ幅の申請と今回認可された値上げ幅の比較(平均値)】
北海道電力 | 東北電力 | 東京電力 | 北陸電力 | 中国電力 | 四国電力 | 沖縄電力 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
当初の値上げ幅 | 32% | 33% | 29% | 46% | 31% | 28% | 44% |
認可された値上げ幅 | 21% | 24% | 14% | 42% | 29% | 25% | 38% |
当初に比べると全体的に値上げ幅が圧縮されてるのがわかりますね!
でもどうして経済産業省は圧縮するように指示したの?
あまりに値上げ幅が大きすぎるから?
経済産業省が当初の電気代値上げ幅の圧縮を指示したのは、直近3ヶ月の燃料費を試算したところ、申請時に比べて燃料価格が下がっていたからです。
厳格な審査が行われたのち、今回電気代の値上がり幅が14%〜42%と決定されたのです。
具体的な電気代負担額は前年と比べて月2,000円〜7,000円アップ
値上がり幅14%〜42%から試算すると、値上がり前の2022年11月と比べて具体的な電気代負担額は月2,000円〜7,000円アップすることがわかりました。
【値上がり前後の電気代負担額の比較】
電力会社 | 平均値上げ幅 | 電気代値上がり前 1ヶ月平均電気代 | 電気代値上がり後 1ヶ月平均電気代予想 | 差額 |
---|---|---|---|---|
北海道電力 | 21% | 14,919円 | 18,885円 | 3,966円 |
東北電力 | 24% | 12,659円 | 16,657円 | 3,998円 |
東京電力 | 14% | 14,208円 | 16,522円 | 2,314円 |
北陸電力 | 42% | 9,210円 | 15,879円 | 6,669円 |
中国電力 | 29% | 11,938円 | 16,814円 | 4,876円 |
四国電力 | 25% | 12,092円 | 16,123円 | 4,013円 |
沖縄電力 | 38% | 12,026円 | 19,397円 | 7,371円 |
※電気代目安:標準的な家庭(1ヶ月あたり400kWhの使用)の2022年11月(値上げ申請される前)と比べたもの
毎月これくらいの電気代がかかるとなると恐ろしい・・・
しかし、2023年9月からはさらに負担額が増えることになりますよ…!詳しくは次項目で解説しますね!
政府からの補助「激変緩和措置」の終了後は負担額が月2,800円アップ
政府は「激変緩和措置」といって、電気代の内訳に含まれる燃料調整額に対して値引きを行うことで、電気代の負担額を補助する措置を行いました。
具体的な補助の内容は後述しますが「激変緩和措置」の適用は2023年9月使用分までなので、2023年10月使用分からは補助がなくなり電気代の負担額が月2,800円アップするとされています。
》政府からの補助「激変緩和措置」の詳しい情報はこちら
電気代が決まる仕組み
電気代が決まる仕組みは上記のとおりです。
電力会社が設定した契約プランごとの固定料金です。
電気を全く使用しなかった月でも基本料金は発生します。
使用した電力量に応じて発生する料金で、1kWhあたりの料金単価に1ヶ月間の使用電力量をかけて算出します。
燃料費調整額は天然ガスや石炭などの燃料価格の変動を毎月の電気料金に反映させて調整する調整額のことです。
燃料費の変動額に応じて加算、または差し引きして計算されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の略で、太陽光発電や風力発電などの再エネの買取に必要な費用をまかなうための賦課金(=税金みたいなもの)です。
再エネ賦課金の単価は全国一律で国が年度ごとに決定しています。
電気代が値上げされる理由を理解するには、電気代が決まる仕組みを理解しておくことが必要なのでチェックしておきましょう!
電気代が値上げされる理由
電気代が値上げされる理由は主に3つあります。
- 天然ガスと石炭の価格の高騰
- 再エネ賦課金の値上げ
- 国内の電気供給力の不足
それぞれ詳しく解説していきます!
天然ガスと石炭の価格の高騰
電気代が値上げされる理由のひとつは、天然ガスと石炭の価格の高騰です。
最近の天然ガスと石炭の価格の高騰には主に3つの原因があります。
- ウクライナ情勢による影響
- 天然ガスの需要の増加
- 円安による影響
それぞれの原因について解説します!
ウクライナ情勢による影響
天然ガスと石炭の価格高騰の主な原因は、ウクライナ情勢などによる輸出価格の高騰で燃料費調整額が値上げされているからです。
ロシアは化石燃料の輸出額で上位を占めており、天然ガスが1位、石炭が3位となっています。
ロシアからの輸出制限が輸出価格の高騰に大きな影響を与えているのです!
2020年10月:100万BTUあたり629円
2022年10月:100万BTUあたり3,483円
2020年7月:1kgあたり6.04円
2022年10月:1kgあたり48.01円
2023年1月:1kgあたり22.39円
天然ガスも石炭も約3〜5倍も価格が上がっているんだね!
電気代が上がる理由がよくわかりますね!また、電気代値上げ幅の見直しは、石炭などの燃料価格が低下する傾向が見られたからです!
天然ガスや石炭を燃料とする火力発電が日本の電源構成の7割を占めていることから、燃料費調整額の値上げが余儀なくされています。
天然ガスの需要の増加
天然ガスの価格高騰の理由のひとつとして、天然ガスの需要が高まっていることが挙げられます。
天然ガスはCO2の排出量が他の化石燃料より少ないため、石炭や石油からの天然ガスへの切り替えが世界的に進められているからです。
天然ガスの需要が増加するにあたり、価格の高騰も避けられないということですね!
円安による影響
天然ガスや石炭の価格高騰は円安の影響も受けています。
2022年10月をピークに11月以降は円高になっていますが、電気料金が2023年1月以降値下がりしているのも円高傾向になったためと言えます。
つまり、円安が進むことで電気料金に影響が出てくるということですね!
再エネ賦課金の値上げ
再エネ電力の買取が増えるほど、再エネ賦課金も上がります。
再エネ賦課金は再生可能エネルギー発電促進賦課金の略で、太陽光発電や風力発電などの再エネ電力の買取に必要な費用をまかなうための賦課金です。
つまり税金みたいなものですね!
どうして私たちが再エネの賦課金を支払う必要があるの?
現状、再エネ発電は火力発電や原子力発電などと比べて割高なので、みんなで負担をして再エネを増やそう!っていう感じですね!
再エネ発電はCO2を排出しなかったり、永続的に使用できるエネルギーだったりと、地球温暖化の緩和に有効的なため積極的に使用していきたい電力なのです。
再エネ賦課金は1ヶ月間の電気使用量にかけられ、電気料料金に加算されるため再エネ賦課金が上がることで電気代も高くなります。
回避可能費用の高騰で2023年は再エネ賦課金が大幅低下
再エネ賦課金の推移
2022年まで値上がりし続けた再エネ賦課金ですが、2023年は値下がりしています。
再エネ発電は積極的に増やしていきたいんだよね。どうして下がるの?
2023年現在、再エネ電力の買取額自体は増え続けていますが、回避可能費用の高騰により再エネ賦課金が抑えられたのです!
再エネ電力の買取費用と回避可能費用の推移
ほんとだ!再エネ電力の買取額はずっと右肩上がり!
回避可能費用が2023年で急激に上昇してる!
再エネ電力の買取額が増加しているのに対し、再エネ賦課金が低下しているのには、再エネ賦課金単価の算出方法に理由があります!
(再エネ買取費用ー回避可能費用+事務費)÷販売電力量=再エネ賦課金単価
2023年は回避可能費用が高騰したおかげで再エネ買取費用を大幅に削ることができたのです!
2023年は電力の市場価格が高騰したため回避可能費用が上昇し、結果再エネ賦課金単価が下がることとなりました。
しかし、再エネ賦課金が低下しても燃料費調整額の高騰が大きいため、電気代の負担額の低下にはあまり期待できません。
国内の電気供給力の不足
国内の電気供給力の不足も電気代が値上げされる理由のひとつです。
国内の電気供給は2010年以降から低下傾向にあり、その原因は2つあります。
- 原子力発電所の稼働停止
- 火力発電所の減少
原子力発電所は2011年に発生した東日本大震災の影響により、国内の大半の原子力発電所が稼働停止となりました。
グラフで見てもわかるように、原子力発電所は2011年以降ほとんど稼働していません!
火力発電所は他発電所と比べて高コストなところや、電力自由化による競争激化が主な理由として休止や廃止が進んでいます。
また、再生エネルギーへの転換も火力発電所の減少の原因となっています!
電力の確保が難しくなっていたり、再生エネルギーへの転換による再エネ賦課金の料金が上がったりすることで、電気代の高騰に繋がっているのです。
値上がりし続ける電気代に対する政府からの補助
政府からの補助により、値上がりし続けている電気代は少し緩和されています。
政府は2023年1月使用分より「激変緩和措置」として燃料費調整額の値引きを開始しました。
「激変緩和措置」による燃料費調整額の値引き
「激変緩和措置」による燃料費調整額の値引きは低圧と高圧によって変わります。
低圧:7円/kWh分を燃料調整額から値引き
高圧:3.5円/kWh分を燃料調整額から値引き
※特別高圧は補助対象外
低圧に対する値引きの具体的な計算は以下のとおりです。
電気料金=電気量料金±(燃料調整額-7.0円)+再エネ賦課金
低圧に対する値引き額は2023年前期に想定されていた値上がり金額が目安となっており、実質的に値上がり分を政府が肩代わりするようになっています。
高圧に対する値引きの具体的な計算は以下のとおりです。
電気料金=電気量料金±(燃料調整額-3.5円)+再エネ賦課金
高圧に対する値引き額は2022年度の再エネ賦課金にあたる金額となっており、実質的に再エネ賦課金を政府が肩代わりするようになっています。
電気代の負担が少し軽くなるのは嬉しいね!
しかし「激変緩和措置」には期間が設けられているので注意が必要です!
補助期間は2023年9月使用分まで
「激変緩和措置」の期間は2023年1月使用分〜9月使用分までです。
2023年10月使用分からは補助がなくなり、負担額が月2,800円上がるとされています。
補助を受けている状態でも厳しいのに補助がなくなって月2,800円が加算されてくるとなると生活が苦しくなる・・・
だから今から節電術を身につけておくことが大切なのです!
2023年6月からの電気代値上げに対する節電対策
2023年6月からの電気代値上げに対応できるように、今から節電の知識を身につけておきましょう。
- 電力会社や電気料金プランを見直す
- 電気代が高い家電を知って節電の工夫をする
- 省エネ性能が高い家電に買い替える
節電対策をして電気代の値上げにも対応できるようにしましょう!
電力会社や電気料金プランを見直す
すでに多くの電力会社で値上げが発表されていますが、なかでも値上げ幅が少ない電力会社に乗り換えるのは節電対策として効果的です。
また、生活習慣に最適な電気料金プランへの見直しにも良い機会といえます。
電気代のシミュレーションやプランの見直しには「エネチェンジ」の電気代シミュレーションがおすすめです!
電気代が高い家電を知って節電の工夫をする
節電対策で効果的なのは、電気代が高い家電を把握して家電ごとの適切な節電を行うことです。
- エアコン
- 洗濯機
- 食器洗い乾燥機
- 冷蔵庫
- テレビ
- 照明機器
- 炊飯器
例えば洗濯機だとお急ぎモードにしたり、照明機器だと白熱球からLED化したり、家電ごとに効果的な節電方法があります!
各家電の年間電気代と節電方法については以下の記事で詳しく解説しています。
省エネ性能が高い家電に買い替える
10年以上使用している家電をお持ちのご家庭は、たとえ故障をしていなくても新しく買い替えることをおすすめします。
古い家電は消費電力が多く、電気代が無駄に高くかかってしまう傾向があるからです。
2003年の冷蔵庫(401〜450L):約600〜680kWh
2013年の冷蔵庫(401〜450L):約200〜220kWh
電力量の差は約400kWh!電気代に例えると年間約10,800円も変わります!
【各家電の買い替え時期の目安】
エアコン | 洗濯機 | 食器洗い乾燥機 | 冷蔵庫 | テレビ | 照明機器 | 炊飯器 |
---|---|---|---|---|---|---|
約13年 | 約10年 | 約10年 | 約13年 | 約10年 | 約10年 | 約3〜6年 |
電気代高騰に伴い、家電の省エネ性の高さも影響してくるでしょう。
家電の買い替えも検討していきましょう!
2023年6月からの電気代値上げに関するよくある質問
ここでは2023年6月からの電気代値上げに関するよくある質問について紹介します。
まとめ:高騰し続ける電気代、節電術を身につけて対策をとろう!
この記事では、2023年6月から値上げされる電気代の具体的な値上げ額や値上げの理由、節電対策について解説してきました。
【2023年6月からの電気代値上がりの状況と影響の地域別まとめ】
電力会社 | 平均値上げ幅 | 値上げ実施日 | 電気代値上がり前 1ヶ月平均電気代 | 電気代値上がり後 1ヶ月平均電気代予想 |
---|---|---|---|---|
北海道電力 | 21% | 2023年6月1日 | 14,919円 | 18,885円 |
東北電力 | 24% | 2023年6月1日 | 12,659円 | 16,657円 |
東京電力 | 14% | 2023年6月1日 | 14,208円 | 16,522円 |
北陸電力 | 42% | 2023年6月1日 | 9,210円 | 15,879円 |
中国電力 | 29% | 2023年6月1日 | 11,938円 | 16,814円 |
四国電力 | 25% | 2023年6月1日 | 12,092円 | 16,123円 |
沖縄電力 | 38% | 2023年6月1日 | 12,026円 | 19,397円 |
※電気代目安:標準的な家庭(1ヶ月あたり400kWhの使用)の2022年11月(値上げ申請される前)と比べたもの
- 天然ガスと石炭の価格の高騰
- 再エネ賦課金の値上げ
- 国内の電気供給力の不足
- 電力会社や電気料金プランを見直す
- 電気代が高い家電を知って節電の工夫をする
- 省エネ性能が高い家電に買い替える
2023年6月からの電気代値上げに厳しいと感じる方も多いかと思いますが、今から節電対策を取り入れて少しでも負担軽減を計りましょう!
\家電の買い替えなら/